孤島で生まれ育った少年の青春を綴った長編小説
【第68回 高知県出版文化賞受賞】
柴田耀(よう)氏による高知県西部の離島・宿毛市鵜来島で生まれ育った秋五の挫折と苦悶の青春を綴った小説。
鵜来島については、島を紹介したNHKの番組「離島で発見!ラストファミリー」が最近放送されました。
現在は島民わずか十余人ですが、昭和30年代には80戸、450人ほどが暮らしていました。電気も通わない離島ながら、豊かな自然と文化に育まれ、この物語の中でも当時盛んだったカツオ漁、お盆や秋祭りなどの様子が生き生きと描写されています。
主人公はやがて島を出て、高知市の高校、東京の大学へと進学する中で、カルチャーショックとコンプレックスに苦しみ、初恋と勉学の両立にも悩むことになります。
著者の自伝的小説であり、『深夜食堂』で知られる漫画家、安倍夜郎氏より推薦文もいただいております。
昭和30〜40年代の世相風俗が盛り込まれ、著者と同世代の方には懐かしく共感を持って、若い世代の方には新鮮に読んでいただける一冊です。
「恋と勉学の両立に悩んだ初恋の想い出を、こんなに初々しく描ける79歳って素敵じゃないか」
漫画家・安倍夜郎