-鎌倉から遠く離れた地でもう一つの戦いがあった- 第10回ふるさと自費出版大賞 文芸・創作部門最優秀賞 本書は植木博子氏による、知られざる「土佐における源平の争乱」を描いた一冊。 主人公は夜須の荘園の荘官である夜須七郎行宗(やすしちろうゆきむね)。平家の所領である土佐では数少ない源氏方の行宗は、介良荘(高知市)に流されていた源頼朝の弟(頼朝と同じ正妻の子)である源希義(みなもとのまれよし)を庇護していた。 頼朝の挙兵に呼応しようとする土佐の源氏方と、それを阻止しようと陰謀を巡らす平家方の争いが続くなか、行宗と希義それぞれの恋の行方と運命は――。 「あの、優れてまっすぐな心だて。物部まで乗り込んでくる豪胆こそ、民が生き抜く柱となる。あれに死なれたら土佐の混迷はこれからも続く」 (本文より)